自転車で隣の町まで走ってきた。約2時間ほど走って脚がすこし痛い。

中学、高校、大学と自転車で通学していたこともあり、自転車に乗ると学生時代のことを思い出す瞬間が多い。

大学生の時には、夏休みなどの長期休みに、一人暮らしのアパートから実家までの100km近くを自転車で3往復ほどした。仲の良かった友人とたまたま実家も近く、二人で深夜に出発して、10時間ほどかけて帰省したのはけっこう楽しい思い出の一つだ。彼とはそういう、何やってんだろうって遊びをよくした。

ある日、いつものようにコンビニの前で待ち合わせをした。コンビニのチキンを食べながら、今日は何をしようかと話した。お互いに何でもいいよねと言い合いながら、そう言っていても何も始まらないので、今見える景色のなかでたぶん一番遠くに見える霞んだ山を指差して「あの山に行こう」と言った。

半分冗談、半分本気の提案に友人は「いいね!」と言った。そういうところが彼と一緒にいたいと思う一番の理由だったかもしれない。

挑戦心とか、好き嫌いとか、損得とか、お金とか、恋心とか、物欲とか、向上心とか、一緒にいて楽しいとか、面白いとか、誰かと一緒にいる理由を説明しようとすればいろんなことが思いつくけど、結局のところ好奇心というものがある人と、一番ストレスなく、一番楽に過ごせる気がする。

あくまで僕の体感だけど、好奇心がある人というのが圧倒的に少ない。異常に少ない。何に対しても「いいね」と言える人、自分はある程度そういう人であると自負しているけど、自分を除けばそういう人は彼以外に思いつかない。

自分の「憧れる」「羨ましい」「やってみたい」そういう感覚、そこには、知識の邪魔や、結果得られるメリット、デメリットを完全に無視した、とにかくきっと「いいね」という感覚だけがある。一ミリの下心もなく、自分のやりたいで共鳴できる人はとても貴重だ。