冬もピンクの桜十年後のあなた
冬もピンクの桜
十年後のあなた
冬もピンクの桜
十年後のあなた
ぱらぱら漫画の一コマに
突然現れ消えたような人
今の僕は
マトリョーシカの
二番めくらい
内向きに華やか
人間じゃ考えられない
カーテンの振る舞い
長旅の終わり
流星ここまで孤独だったろう
名も知らぬ輝き
確かに見届けた
ガラスの向こう
人それぞれ
カップの内に残った
コーヒーの線が
今日の楽しさ
言葉で伝えられるなら
言葉なんて要らない
あの星にも
この星を目指している誰かが
いないだろうか
ここから出たい
大きな爪で引っ掻いたような
カーテンの波
横断歩道
車の途切れを待ち
ボタン押す
そういう弱さを
優しさとする
シャワーから
糸こんにゃく出てきそう
雨が靴下に染み込んで
もう水溜まりも平気になって
心もそうあればいいのに
眼鏡越しの世界
既に僕はサイボーグか
よく見て
針の先は丸い
人間初心者
新品のまま買い叩かれる
フリーマーケット
来週の自分をハンガーに掛けて
今週の自分を布団に包む
まだ終わらない
二十年前の夏休みの宿題
紅葉ひとつ
秋のスイミー
生き残りの夏たちが
やさしくやさしく
体温を脱ぎ捨てていく
七色と教えられてから
七色になってしまった
僕の虹
醒め切らない朝月夜
二度寝しよう
また夢を見よう
キミだけのエンディング
いい気になりやがって
夏が終わりそうな夜みたいな夜