憂鬱はそこら中にいて僕らが縄張りを侵したのかもしれない
憂鬱はそこら中にいて
僕らが縄張りを
侵したのかもしれない
憂鬱はそこら中にいて
僕らが縄張りを
侵したのかもしれない
稲穂
項垂れて
巨人の足跡
猫と目が合って
逃げないでいてくれたから
仲間はいるって思うことにした
宝探しをしよう
絶対に見つからない場所に
隠すから
言葉自体に意味はないこと
インコが証明してくれた
なんにも言葉の出てこない末日
襟の汚れを浴槽に落とす
便利な暮らしをしていたんだな
三角折りと
便器に残る糞尿の謎
画面越しのレースで
父に兄に勝たないよう
手を抜いていた末っ子
炭酸水の海
泡に乗って宙へ
海面はじけて私
どこに行けばいいの
後ろ向きねと言われましても
僕の目はどうしたって前に
ついているわけでして
朝も何処かの夜照らす星
納豆をかき混ぜる音で
風船膨らみそう
元・子供として
この遊びは負けられない
空き缶と一緒に
蹴飛ばす夕方のチャイム
独り占めしたら広すぎる公園
歩道の真ん中
きいろいヘビの背中を歩く
車窓から
家平線を行く指忍者
羽ばたかぬ限りサナギ
もしもの分だけ重くなった
リュックサック一度も
開けなかった日
翅弾く電燈
つづく夏おわる夏
栞を挟んだまま眠っている
本のような日々
八月の
冷え過ぎた部屋で飲むホット
冬のほうがあったかいね
メロンソーダの緑
人工の色が美味い
だって
僕は人間
生きた街で
生きる人たちがいる
生きていく人たちがいる